JARECO-Eyecommunication

JARECOニュースまとめ(vol. 270)

バイデン大統領の不動産関連施策

市場ならびに市場関連数値

○2020年度年間既存住宅流通戸数は564万戸 (2021/01/22 NARデータ) 12月既存住宅流通戸数は対前月比5,6%増加し、2020年度総体では564万戸の流通戸数となった。これは2006年以降の最大値である。中位住宅価格は$309,800(約3,220万円)となり、対前年同月比12.9%上昇。また、課題となっている売出物件在庫数は107万戸で、これは現在の流通速度からいって1.9か月分の在庫しかなく、統計をNARが取り始めて以降の最低値となっている。
詳しくはこちら: https://www.nar.realtor/newsroom/existing-home-sales-rise-0-7-in-december-annual-sales-see-highest-level-since-2006

〇大都市での賃料下落 (2021/01/21 realtor.com発表) 大都市での賃料は大きく下落しており、例えばサンフランシスコでは対前年同期比、ワンベッドルーム物件で34%、スタジオタイプで26%、2ベッドルームタイプで23%下落している。逆に人口密度が低い郊外の賃貸物件賃料は上昇している。新型コロナウィルス用ワクチン接種が始まり、こうした傾向が今後どのように変化するかはまだわからないが、長期的に都心に部屋を必要とする人であれば、賃料が下がった今、都心の部屋を契約して賃料下落の恩典を享受するという考えもある。投資家の購入意欲も、現時点では都心よりは郊外の物件に全体としては向かっている。
詳しくはこちら: https://news.move.com/2021-01-21-Realtor-com-R-December-Rental-Report-Rents-in-Major-Cities-Continue-to-Decline-Double-Digits

金融

○住宅ローン引き受け金融機関 (2020/12/20 Ascent発表データ) 個人向けファイナンス情報提供を行うAscent社が、2019年度の住宅ローン提供会社についてまとめている。金融機関は11,000あるが、うち25の機関が住宅ローン全体の88%を提供している。1位はQuicken社で541,000件、2位はUnited Shore Financial Serviceで339,000件、3位はWells Fargoで232,000件、4位Chaseで168,000件と続く。しかし取扱高で見ると、Wells Fargoが1位で、3,050億ドル(約32兆円)となっている、2位がChaseの$1,770億ドル(約18兆円となっている)。
詳しくはこちら: https://www.fool.com/the-ascent/research/largest-mortgage-providers/

建築とリフォーム

○建築コスト上昇でビルダー景況感が後退 (2021/01/20 全米ビルダー協会記事) 新築市場に対するディヴェロッパー側の景況感は非常に好水準を維持しているが、全米ビルダー協会が発表した1月の景況感総合数値は対前月比3ポイント下がって83となった。木材価格や他の建築資材高騰、建築労働者不足、土地区画不足が引き続いていることが影響と発表している。
詳しくはこちら: http://nahbnow.com/2021/01/builder-confidence-down-on-rising-material-prices-upsurge-in-covid-19-cases/

政策

○強制退去一時停止措置を3月末まで延長 (2021/01/20 CNBC報道) バイデン新大統領は就任後に発令した大統領令で、現在実施され1月末が期限となっている強制退去一時停止措置を3月末まで延長した。現在家賃支払いを滞らせている人数は約1,400万人と言われる。ただ、強制退去一時停止措置だけだと、家賃を受け取れない大家側の苦難が継続するにて、全米リアルター協会では大家側支援措置も政府に求めている。ここまで米議会は250億ドル(約2兆6000億円)の家賃支援措置を講じてきたが、バイデン政権は就任前に、さらに追加で250億ドル(約2兆6000億円)規模の家賃支援措置を行うとしており、この実現が待たれる。
詳しくはこちら: https://www.cnbc.com/2021/01/20/biden-to-extend-the-national-ban-on-evictions-through-march-2021.html

○バイデン大統領の不動産関連施策 (2021/01/20 NARニュース) 第46代米国大統領としてバイデン氏が就任し、就任直前にはコロナ禍での経済対策として1.9兆ドル(約195兆円)のパッケージを発表した。この中で不動産関連の施策としては、今年9月までの強制退去や差押え処分の一時停止、250億ドル(約2兆6000億円)の家賃支援、50億ドル(約5200億円)のホームレス支援といったものが含まれる。バイデン大統領はまた、一次取得層の住宅取得を支援するための施策、頭金$15,000(約155万円)までの税額控除を提唱している。この不動産購入頭金額の税額控除という施策は、経済危機時ブッシュ大統領やオバマ大統領により実行されたものでもある。
詳しくはこちら: https://magazine.realtor/daily-news/2021/01/20/biden-sworn-in-with-real-estate-on-agenda?AdobeAnalytics=ed_rid%3D1729200%26om_mid%3D3841%7CRealtorMagNews_2021_01_20%26om_nytpe%3DREALTOR%20MAG%20NEWS

業界動向

○トップエージェントたちの今年度業界動向予測 (2021/01/05 Homelight調査) 仲介エージェント紹介サイトのHomeLightが行った2020年度第4四半期調査によると、トップエージェントたちが考える、今年不動産仲介市場に影響を与える主なトレンドは以下の7つとなっている。1.売り出し物件不足 2.ワクチン配布がどれだけ消費者心理を活性化するか 3.一定数の差し押さえ物件増加 4.低金利による取引数増加継続 5。リモートワーク拡大の継続 6. ウィルスによる市場かく乱はこれ以上はない 7.バイデン新大統領の頭金$15,000までの税額控除策は効果が出る。
詳しくはこちら: https://3xlsey17pnzh3nf35w1wwnug-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/2021/01/real-estate-top-agent-insights-q4-2020.pdf

全体経済その他

○31%の世帯が失業懸念を保有 (2021/01/06 国勢調査局データ) コロナウィルス新規感染者数、入院数、死亡者数は毎日過去最大を記録し、ワクチン投入速度も遅い。そうした中で人々は家にこもり、労働統計局データでは給与受領者数(農業従事者除く)は12月に140,000人減っている。月次数値で減少するのは昨年4月以降では初めてとなる。こうした中、今後4週間の間に自分ないし家族の誰かが失業する懸念を持っているアメリカ人の割合は31%に達している。この数値は11月11日から12月21日の調査結果数値だが、過去最大値を記録した昨年4月23日から5月5日調査結果の39%に迫ってきている。
詳しくはこちら: https://www.census.gov/data/tables/2020/demo/hhp/hhp21.html

○過去10年の人口成長や人口移動動向 (2021/01/11 ブルッキングス研究所) 2020年度の国勢調査結果発表はまだだが、結果要旨をブルッキングス研究所が発表している。ひとつには、2010年代の10年間は米国史上かつてない人口成長停滞の10年になりそうだ。ふたつめには、地域間移動の減少が継続中で、2019年から2020年の1年間の移動率は9.3%と過去最低率となっている。コロナ禍で移動率が若干増えに転ずるだろうが、長期的には減少傾向が続いている。みっつめには、ベビーブーマー世代により人口全体としての高齢化が進行していること。よっつめには、白人人口が初めて減少したこと。総じて、「かつてない人口成長の停滞」に入ったと総括して、この流れを変える唯一の施策は「移民の大量受け入れ」しかないとしている。
詳しくはこちら: https://www.brookings.edu/research/what-the-2020-census-will-reveal-about-america-stagnating-growth-an-aging-population-and-youthful-diversity/

○年齢層毎死亡率は対前年比20%も高まっている (2021/01/14 全米保健医療統計センター調査結果) 2020年度第2四半期における年齢層毎の死亡率は、対前年度比それぞれ20%程度高い結果が出ている。調査レポートによると、10万人あたりの平均死亡者数は840人で、対前年同期の702名より19.7%増えた。14歳未満の人口層ではマイナスとなっているが、14歳以上ではいずれの年齢層でも対前年より2桁の死亡率上昇となっており、25歳から34歳では30.1%、35歳から44歳では29.3%と顕著な増加となっている。COVID-19による影響が明らかに出た結果である。
詳しくはこちら: https://www.cdc.gov/nchs/nvss/vsrr/mortality-dashboard.htm#