JARECOニュースまとめ(vol. 276)
住宅売却ではベビーブーマーが最も譲渡益を得ている
市場ならびに市場関連数値
○2月既存住宅流通戸数は前月比6.6%減 (2021/03/22 NAR発表データ) 2月既存住宅流通戸数は622万戸(年率換算値)となり、1月数値から6.6%減少した。しかし対前年同月比では9.1%増と、依然として高い水準となっている。中位成約価格は$313,000(約3,400万円)で、対前年同月比15.8%と2桁上昇。課題の売り出し物件在庫数は103万戸で、対前年同月比29.5%の大幅減少となり、平均販売日数は20日と極端に短い日数となっている。NARチーフエコノミストのロレンス・ユン氏によれば、「今後の市場の活況は売り出し物件数の増加」にかかっている。
詳しくはこちら: https://www.nar.realtor/newsroom/existing-home-sales-descend-6-6-in-february
○住宅売却ではベビーブーマーが最も譲渡益を得ている (2021/03/18 NARニュース) 昨年度住宅売却の43%はベビーブーマーによるもので、譲渡益として得た金額もベビーブーマー世代が最も多かった。NARデータによると、昨年度売却した人のキャピタルゲイン中位金額は$66,000(約710万円)だが、66歳から74歳のベビーブーマーに限っては$100,000(約1,080万円)となっている。56歳から64歳までのベビーブーマーの売却までの平均居住年数は14年だが、66歳から74歳のブーマーは平均16年居住で、より一層キャピタルゲイン額が多い。因みに、全売主の中位居住年数期間は10年となっている。
詳しくはこちら: https://magazine.realtor/daily-news/2021/03/18/baby-boomers-are-the-richest-home-sellers?AdobeAnalytics=ed_rid%3D1729200%26om_mid%3D4231%7CRealtorMagNews_2021_03_18%26om_nytpe%3DREALTOR%20MAG%20NEWS
○市場は熱いが買取転売数はここ6年では最低 (2021/03/18 Attom Data社データ) 2020年の全住宅取引に占める転売の割合は5.9%。買取転売件数(購入から1年以内に売却)は対前年から13.1%減少した。物件の取り合いが続く市場により購入物件を確保することの難しさが背景にある。獲得した利幅の中位金額は$66,300(約716万円)で、前年より6.6%高い数値となっている。しかし、投下資本に対する収益率は減少傾向となっている。
詳しくはこちら: https://www.attomdata.com/news/market-trends/flipping/attom-data-solutions-2020-year-end-u-s-home-flipping-report/
○高級アパートの賃料下落 (2021/03/18 MyAffordableLuxury.com記事) ラグジャリー商品サービス情報提供サイトMyAffordableLuxury.comによると、高級アパート賃料下落傾向の中で、そうした物件探しをする人の数が非常に多くなっている。コロナ禍で大都市中心部の高級アパートから抜け出す人が多い一方、高級賃貸物件の新築供給もあって供給過剰状態から賃料下落したのだが、酷い場合は4か月のフリーレントで入居者募集している物件なども出ている。あるいは、現在住んでいる賃貸物件の中で、広い部屋へ転居する人も多い。グーグルの検索情報をもとにこうした傾向が出ている大都市を調べると、ボストン、ワシントンDC、ダラス、ニューヨーク、フィラデルフィア等の大都市にて、こうした傾向がはっきりと出ている。
詳しくはこちら: https://www.myaffordableluxury.com/number-of-renters-purposely-searching-for-luxury-apartments-at-an-all-time-high/
金融
○住宅ローン金利は上昇傾向 (2021/03/18 NARエコノミストブログ) 住宅ローン金利上昇傾向が続き、3月18日締め30年固定物金利は3.05%と3%を越えている。しかし、依然として低金利ゾーンであることは間違いなく、金利水準そのものは住宅購入意欲を決して削いでいない。連銀も金利抑制方針を続けるとしている。既存住宅取引件数はパンデミックにも拘わらず、ここ14年間で最高水準を維持している。いろいろな景気刺激策により、世帯の中位所得は9.4%も伸びている。問題は継続して上昇する住宅価格で、売り出し物件不足や、建築関連の労働力不足や木材価格高騰といった課題がある。
詳しくはこちら: https://www.nar.realtor/blogs/economists-outlook/instant-reaction-mortgage-rates-march-18-2021?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed:%20EconomistsOutlook%20(Economists%27%20Outlook)
テクノロジー
○グーグルは事務所やデータセンタースペースを大きく拡大予定 (2021/03/19 NARニュース) パンデミック終了後に備え、Googleの持ち株会社Alphabet社は、オフィスならびにデータセンター用に今年度70億ドル(約7,560億円)を投じ、フルタイム従業員を1万名新規雇用するとウォールストリートジャーナルが報じている。Google社はパンデミック当初はリモートワークを大きく推進したが、ここに来て、リモートワークを週2日認めつつもオフィスでの仕事に回帰してきている。グーグルはデータセンターの床面積を、2018年以降でそれまでの2倍に増やし、2018年と2019年は1,100億ドル(約1兆1000億円)をこうした不動産取得に費やしていた。
詳しくはこちら: https://magazine.realtor/daily-news/2021/03/19/google-bets-big-on-a-return-to-the-office?AdobeAnalytics=ed_rid%3D1729200%26om_mid%3D4237%7CRealtorMagNews_2021_03_19%26om_nytpe%3DREALTOR%20MAG%20NEWS
業界動向
○住宅検査を売主が行うケース (2021/03/16 NARニュース) 住宅検査実施は売買契約締結時に契約条項に盛り込まれ、買主費用負担で行われることが一般的であり、検査にて大問題が出てきた場合、契約解除という停止条件付契約となっている場合が多い。しかし、売り物件不足が深刻で買主間での物件取り合いとなっている今、住宅検査を行わないという条件で買主がオファーを出さざるを得ない場合も増えている。しかし、これは買主にとって不安を抱く取引とはなり、それが原因で契約が途中で壊れるケースもある。そこで、売り出す前に売主が$300から$500程度をかけて住宅検査を行い、結果を見て必要な修繕をするなり、修理費用を勘案した売値付けを行うなりして売りに出すことを業者が売主へ勧めるケースが増えている。
詳しくはこちら: https://magazine.realtor/daily-news/2021/03/16/sellers-ready-for-negotiation-with-their-own-inspections?AdobeAnalytics=ed_rid%3D1729200%26om_mid%3D4220%7CRealtorMagNews_2021_03_16%26om_nytpe%3DREALTOR%20MAG%20NEWS
全体経済その他
○若者世代のケーブルテレビや衛星放送受信は劇的に減少 (2021/03/17 ピューリサーチセンター) 衛星放送やケーブルテレビサービスを利用しているアメリカ人は依然として多いが、ここ数年その割合は大きく減少している。2015年はそうした人が放送視聴者の76%いたのに、今は56%となっている。若者世代がこうしたサービスを利用する割合が低くなっており、18歳から29歳では34%(2015年は65%)と大きく低下したのに対し、65歳以上では81%(2015年は86%)と、そう大きく減少していないという違いがある。
詳しくはこちら: https://www.pewresearch.org/fact-tank/2021/03/17/cable-and-satellite-tv-use-has-dropped-dramatically-in-the-u-s-since-2015/
○アメリカ人の祖先出身国 (2021/03/17 国勢調査局データ) 自分の祖先がどの国からアメリカに渡ってきたかについて、2019年度American Community Survey結果を見ると、多さの順では以下のようになっている(括弧内は総人口に対する割合)。1位はドイツで4,030万人(12.3%)、2位はアイルランドで3,040万人(9.2%)、3位はイギリスで2,360万人(7.2%)、4位はイタリアで1,610万人(4.9%)、5位はポーランドで900万人(2.7%)、6位はフランスで710万人(2.2%)、7位はスコットランドで510万人(1.6%)、8位はノルウェーで430万人(1.3%)、9位はオランダで360万人(1.1%)、10位はスウェーデンで350万人(1.1%)となっている。しかし、ヒスパニック系、中国系等への数値はこの調査では得られておらず、それぞれの人種への別途調査にて得られている。これら別途調査数値を参照すると、2位がメキシコで3,720万人(11.3%)、8位にプエルトリコの580万人(1.8%)、9位に中国の520万人(1.6%)が入ってくる。(*複数の祖先国の血が入っている場合は複数回答可の調査となっている)
詳しくはこちら: https://data.census.gov/cedsci/table?q=ancestry&tid=ACSDT1Y2019.B04006&hidePreview=false
○3人に1人はずっとリモートワークで大丈夫な職種に就いている (2021/03/10 ApartmentList.com記事) アメリカ人の仕事全体のうち、3分の1はいつでもリモートで行えると言われる。そうした中、賃貸不動産ポータルApartmentListは、永久にリモートで仕事したいという人たちを「束縛されない人たち」と呼んでいて、推測ではこうした人は全米で870万人、就業人口の5.6%を占めるとしている。都市別に見ると、サンフランシスコではリモートワークでも大丈夫という仕事が全体の42.3%を占め、「束縛されない人たち」に限ってみると13.5%を占める。こうした人たちの中位年齢層は32歳で高学歴、リモートで住みやすい町を探して住居探しをしている。他にも「束縛されない人たち」の割合が高い都市として、サンノゼ、オースチン、ロサンゼルス等がリスト化されている。
詳しくはこちら: https://www.apartmentlist.com/research/remote-work-untethered-class