JARECOニュースまとめ(vol. 282)
マスク規制が解かれる中、戻りつつある事業用不動産投資
市場ならびに市場関連数値
○4月既存住宅流通戸数は2.7%減 (2021/05/21 NAR発表データ) 4月既存住宅流通戸数は対前月比2.7%減の585万戸(年率換算値)となり、3か月連続減少となった。しかし、対前年同月は437万戸だったので、それに比すと33.9%増加している。NARチーフエコノミストのローレンス・ユン氏は、「売出物件の極端な不足が流通戸数を抑えている。今後ほとんどの人がワクチン接種して売主が増えるのと、住宅ローン返済猶予措置が終わることにより、年度末に向けて売り出し在庫数は増加する」と分析している。
詳しくはこちら: https://www.nar.realtor/newsroom/existing-home-sales-decline-2-7-in-april
○パンデミック始まって以降最大の賃料上昇 (2021/05/18 realtor.comデータ) 主要50の大都市4月賃料は、対前年同月比で2.7%増となり、パンデミック始まって以降では最高の上昇率となった。中位賃料は$1,483(約162,000円)で、特に2ベッドルーム物件の賃料は5.2%上昇した。ハイテク企業はリモートワーク中心から、都心オフィスへの通勤に戻してきているが、こうしたハイテク企業が密集する都市の賃料は、依然として昨年比5.4%減。ただし2月時点での6.6%減より持ち直しつつある。
詳しくはこちら: https://news.move.com/2021-05-18-Realtor-com-R-April-Rental-Report-Rents-Begin-to-Rebound-in-Tech-Hubs
○LGBTQの住宅取得を妨げている差別 (2021/05/19 NARニュース) LGBTQ(セクシャルマイノリティー)の人たちが持つ住宅購入能力は1兆ドル(約110兆円)と推計されている。しかし、LGBTQ-Allianceが発表した分析によると、LGBTQの持ち家率は49.8%にとどまっていて、アメリカ全体の65.8%よりかなり低い。実は、現存の住宅公正法にはLGBTQの人たちの保護が明記されていない。こうした中、レポートによると不動産業者に差別を受けたというLGBTQの人が11%にも上る。賃貸大家にアパート貸し出しを拒否されたという人は5%いる。LGBTQの人の多くが、差別を受けて住宅保有へ動きだすことをためらっている。これを改善していくべき。
詳しくはこちら: https://magazine.realtor/daily-news/2021/05/19/study-discrimination-limits-homeownership-in-lgbtq-population?AdobeAnalytics=ed_rid%3D1729200%26om_mid%3D4617%7CRealtorMagNews_2021_05_19%26om_nytpe%3DREALTOR%20MAG%20NEWS
○ハイテク企業ほどリモートワークを縮小している (2021/05/19 NARニュース) パンデミック収束につれて最大の疑問のひとつは、いったん拡大したリモートワーク傾向が、どれくらい永続的な傾向になるかということだった。ところがここに来て、リモートワークからオフィスワークへの戻りが大きな動きとして表面化してきた部分がある。特に、ハイテク企業のグーグルやアマゾンは、完全にオフィスワークに戻す動きに入っているのと、新規のオフィススペース確保に走っている。一方で、シアトルやオースチンのオフィスビルの空室率は、ここ数か月依然として改善しておらず、全ての企業がオフィスワークへの戻りの動きに入ったとも言えない。今後どのようになっていくか注目される。
詳しくはこちら: https://magazine.realtor/daily-news/2021/05/19/tech-firms-are-leading-return-to-the-office?AdobeAnalytics=ed_rid%3D1729200%26om_mid%3D4617%7CRealtorMagNews_2021_05_19%26om_nytpe%3DREALTOR%20MAG%20NEWS
○売り出し物件不足の中で現金取引割合が上昇 (2021/05/17 realtor.com記事) 不動産ポータルrealtor.comデータによると、1月から2月にかけて、全不動産取引の20%が現金払いだった。対前年度比では5%上昇したこととなる。こうした取引の主な部分は投資家や国際資本による購入、セカンドホーム購入のケースである。現金取引が一番多いのはネバダ州のリノとなっている。
詳しくはこちら: https://www.realtor.com/news/trends/money-talks-ten-metros-where-people-are-buying-more-homes-in-cash/
投資
○マスク規制が解かれる中、戻りつつある事業用不動産投資 (2021/05/18 NARニュース) オフィスへの回帰や旅行需要が戻るとの予想から、事業用不動産価格が上昇し始めている。疾病予防センター(CDC)が、ワクチン接種済の人はマスク使用やソーシャルディスタンスを気にかけなくても良いとのガイダンスを出し始めていることが、投資家の動きを加速しているためである。機関投資家はオフィスビルやホテルへの投資額を既に増やしている、とウォールストリートジャーナルも報じている。インフレへの警戒感もでてきていて、インフレに伴って賃料収入が上昇する事業用物件が好まれているのが背景だ。また、Blackstone, JPMorgan Chase、Goldman Sachsといった投資関連企業も、リモートからオフィスへの人の転換を来月から本格化するとみられる。
詳しくはこちら:https://magazine.realtor/daily-news/2021/05/18/as-mask-orders-lift-investors-swoop-in-on-empty-offices-hotels?AdobeAnalytics=ed_rid%3D1729200%26om_mid%3D4606%7CRealtorMagNews_2021_05_18%26om_nytpe%3DREALTOR%20MAG%20NEWS
業界動向
○NAR会員数は過去最高に、中位所得額は減少 (2021/05/19 NARレポート) NARが発表した会員プロフィールレポートによると、パンデミック中でも会員増加が続き、2019年末の140万人に対し、2020年末は148万人と増加した。会員4名のうち1名は、年間所得が$100,000(約1,100万円)を越している。中位所得額は$43,330(約470万円)で、2019年度の$49,700(約541万円)から相当下がっているが、これは売り出し物件の極端な不足により取扱件数を減らした会員が多いことが響いている。実際に、困っている問題は何かとの質問に、会員の60%が「物件不足」を挙げている。
詳しくはこちら: https://magazine.realtor/daily-news/2021/05/19/nar-membership-hits-record-high?AdobeAnalytics=ed_rid%3D1729200%26om_mid%3D4617%7CRealtorMagNews_2021_05_19%26om_nytpe%3DREALTOR%20MAG%20NEWS
〇売出物件の住所を登録するMLS規則改正 (2021/05/17 NARニュース) 毎年恒例5月の全米リアルター協会(NAR)定例理事会(オンライン開催)にて、MLS規則がひとつ改定された。これまでMLS情報をMLS会員が見ると、物件の住所は開示されていなかったが、NARはMLSの有用性、透明性、協働性が促進されるとして、物件住所を開示することとMLS規則を改定した。ただし、売主が個人情報保護を望んで売り物件住所の非開示を求める場合は、この限りではないとの規定となっている。
詳しくはこちら: https://magazine.realtor/daily-news/2021/05/17/if-it-s-in-the-mls-share-the-address?AdobeAnalytics=ed_rid%3D1729200%26om_mid%3D4600%7CRealtorMagNews_2021_05_17%26om_nytpe%3DREALTOR%20MAG%20NEWS
全体経済その他
○ワクチン証明提出の受容度合い (2021/05/07 ギャロップ調査結果) 経済活動が元に戻りつつある中、ワクチン証明書を提出して経済活動を活発化することを、過半数以上の人が賛成している。航空機に乗る際の提出を是とするのは57%、大規模イベント参加時の提出を是とするのは55%となっている。職場での提示を是とするのは45%、ホテル滞在は44%、レストラン提示は40%。しかし、政党支持でこの数字は大きく異なり、例えば航空機搭乗時ワクチン接種証明提示について、民主党支持者では85%が是としているの対し、共和党では28%しか是としていない。他項目でも全て、共和党支持者は割合が低い。
詳しくはこちら: https://news.gallup.com/poll/349580/support-vaccination-proof-varies-activity.asp
○異なる人種間での結婚割合は全体の10% (2021/04/22 国勢調査局データ) 2016年度のAmerican Community Survery集計データを基に、国政調査局が「婚姻に関するレポート」を発表した。レポートによると、離婚を経験した後に貧困状態に陥る割合は、男性の11%に対し、女性は20%と割合が高い。初婚の平均年齢は男性が30歳、女性が28歳で、2008年のレポートと比べそれぞれ2年遅くなっている。離婚経験者が多い年齢帯は55歳から64歳。全婚姻者のうち43%の人は再婚者で離婚経験者となっている。離婚率を人種別に見た場合、アジア系の人が一番低く、男性で14%、女性で11%となっている。また、異なる人種間での婚姻割合は全体の10%となっている。
レポートダウンロードはこちらにて出来る: https://www.census.gov/content/dam/Census/library/publications/2021/demo/p70-167.pdf